じぶんで経理をやっていると、支払額のまま経理しているということがあります。
ただ、経理としてはそれでは処理が足りないというケースもあります。
振込額では仕訳が足りない
じぶんで経理をやっていると、あるあるなのが振込額で仕訳しているようなパターン。
振込額は〇〇にいくら払うという事実しかありません。
ただ、経理だとそういうわけにもいきません。このまま仕訳で登録するのは間違いです。
- デザイナーに報酬を払う
- 税理士に報酬を払う
- 社宅家賃と駐車場料金をまとめて払う
- 借入金を返済する
といった取引は、支払額で仕訳するだけでは足りないのです。
支払額ではなく総額で、の意味
デザイナーに報酬を払ったという場合なら、報酬を総額にして、源泉所得税を預り金として処理する必要があります。
日付 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 | コメント |
8/12 | 外注費(または未払金) | 55,000 | 預金 | 49,895 | 〇〇デザイン |
預り金 | 5,105 | 〇〇デザイン |
ただ、ネットバンクから連携されるデータは
8/12 〇〇デザイン -49,895
という支払額だけです。
社宅家賃と駐車場を払うなら、
日付 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 | コメント |
8/31 | 地代家賃 社宅(非課税) | 70,000 | 預金 | 78,800 | カ)〇〇チンタイ |
地代家賃 駐車場(課税) | 8,800 | カ)〇〇チンタイ |
というように消費税の区分を分ける必要があります。
ただ、ネットバンクから連携されるのは、
8/31 カ)〇〇チンタイ -78,800
というデータだけです。
手間ではありますが、源泉所得税を認識しないと預り金があわなくなりますし、総額で経費にする、消費税の区分を分けないといけないというルールがある以上、仕方ありません。
連携したら自動で仕訳になるような工夫
このような手間がかかる仕訳があれば、しくみをつくってしまうことも解決策の1つです。
クラウド会計だと、このルールをつくることが一応できます。
具体的には、自動仕訳登録をしておきます。
〇〇デザインへお金を支払ったら、決まった仕訳のかたちにする。
カ)〇〇チンタイへ家賃を払った場合も同様に。
といったことが可能です。
マネーフォワードやfreeeだとネットバンクに表示される摘要をヒントにして、仕訳ルールを決めることができます。
8/31 カ)〇〇チンタイ -78,800 というデータなら、次のように自動仕訳を設定することができます。(マネーフォワードの場合)
日付 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 | コメント |
8/31 | 地代家賃 社宅(非課税) | 78,800 | 預金 | 78,800 | カ)〇〇チンタイ |
地代家賃 駐車場(課税) | 8,800 | 地代家賃 社宅(非課税) | 8,800 | カ)〇〇チンタイ |
ポイントは、ネットバンクからの連携データはいったん1つの科目にまとめてしまうこと。
地代家賃 駐車場(非課税)78,800/預金 78,800 ←連携データからの金額
地代家賃 駐車場(課税) 8,800/地代家賃 社宅(非課税) 8,800 ←定額で設定
このとき大事なのは、簿記を考えないということです。
簿記の考えだと上記のような仕訳は普通はしないので、怒られるかもしれません。「そんな仕訳するな」と。
ただ、ネットバンクから連携される明細が1行である以上は、いったん1つの仕訳で連携し、2行目以降の仕訳でそれぞれ該当の科目を振替えるというほうが手数が減ります。
これでも最終的に社宅家賃は70,000円、駐車場は8,800円です。結果は同じですし、問題ありません。
まぁ違うやり方はあるのでしょうが、経理を敷居を下げるために手間を減らすというのも大事です。もちろんその後のチェックは必要ですが。
最初のしくみづくりはタイヘンですが、その後の負担を考えるとやっておく価値はあります。
数字を理解するためにも、じぶんで経理をやるのがおすすめですので、そういう方には今回の記事で敷居を下げていただければと思います。