来期が免税になる場合に注意したい在庫(棚卸資産)の消費税。

当期が課税で来期に免税になる場合(前期が免税で当期が課税の場合も)には、注意点もあります。

目次

来期は消費税免税?

消費税の納税義務は、2期前の消費税のかかる売上が1,000万円を超えるかどうかで決まります。

ということは、前期は消費税免税だけど、今期は消費税課税ということもありますし、今期は消費税課税だけど、来期は消費税が免税というケースもあるわけです。

その場合に消費税で注意したいのが、棚卸資産がある場合の消費税の調整です。

ざっくり言うと、在庫があるなら、消費税の調整が必要だということです。

棚卸資産がある場合の消費税調整

前期免税・当期課税

たとえば、前期が免税、当期は課税という場合、

仕入れたときは免税事業者、消費税を認識していません。11,000円で仕入れたものは「仕入11,000」という経費になり消費税は認識しません。

ただ、期末在庫になって翌期に売れたという場合、売上では消費税を認識します。22,000円で売れたら売上20,000円と仮受消費税2,000円というように。

仕入れたときには消費税を考慮してもらえず、売ったときは消費税を認識しないといけないという話です。

なので、こういう場合には、当期の期首の在庫金額のうち次の計算をした消費税を、当期の消費税の計算で売上に係る消費税からマイナスしていいことになっています。

  • 10%の仕入            → 棚卸資産の金額×7.8/110
  • 軽減税率8%の仕入 → 棚卸資産の金額×6.24/108

当期課税・来期免税

逆に当期は消費税が課税だけど、来年は免税になるというケースもあります。

当期に11,000円で仕入れたモノが、22,000円で売れたのは翌期になってからという場合、

売れたのは翌期、免税事業者で消費税を税務署に払う必要がないのに、当期に課税事業者になっているために、支払った仕入れの消費税1,000円を当期にマイナスできてしまいます。

だから、期末在庫にかかる当期に払った消費税、1,000円を当期の仮払消費税からマイナスして、売上からマイナスする消費税を減らす。

売上と仕入れの消費税の整合性をとるということをします。

  • 10%の仕入            → 棚卸資産の金額×7.8/110
  • 軽減税率8%の仕入 → 棚卸資産の金額×6.24/108

その調整は消費税の申告書やります。大抵は計算した金額を入力するようになっています。

なお、棚卸資産(在庫)がある場合の消費税の調整をするのは原則課税の場合だけで、簡易課税を選んでいれば関係のない話です。

2023年10月スタートのインボイス制

消費税の納税は、売上が1,000万円を超えるかどうかで税務署に支払うかどうかが変わってくるのが現状です。

ただ、2023年10月からスタートするインボイス制が始まると、じぶんから「消費税を払うよ」という意思表示をするようになるため、こういう処理を考えることは減ってくるでしょうね。

「売上1,000万円以下になったけど、あえて消費税を税務署に払うよ」と手を挙げれば、前期課税、当期課税、翌期も課税というようになるでしょうから。

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この記事を書いた人

ひとり社長・フリーランスの経理をITを活用してサポートします。クラウド会計の導入・スポットでの相談・相続税申告も得意です。著書に「十人十色の『ひとり税理士』という生き方」(共著)

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