決算書の科目もある程度の範囲では、自由に設定することができます。
パッと見てわかるように工夫しておきたいものです。
決算書の科目
決算書の科目。
税務署は経費になるかならないか、売上ももれがないかどうかはチェックしています。
ただ、決算書でどの科目を使うかということについては特に何も言いません。
ある程度、会社の自由に選べます。(ある程度はですが)
であれば、決算書を見たときにパッとわかるような科目を使っておきたいものです。
決算書を見てわかるかどうか?
決算書を見てわかるようにしておく工夫にはどんなものがあるか。一例を挙げてみました。
年間の返済額
年間でいくら返済しないといけないのか?というのは押さえておきたい点です。
銀行からお金を借りている場合、決算書では「短期借入金」や「長期借入金」で表示されているはずです。
具体的には「短期借入金」は1年以内に返済するので流動負債に表示し、「長期借入金」は1年を超えて返済するので固定負債に表示されています。
このうち、「長期借入金」には、1年以内に返済する金額があるはずです。
その金額を「1年以内返済長期借入金」として表示しましょう。
決算書をパッと見て、年間でいくら返済するべきかがわかります。
そもそも会計のルールでは、1年以内に返済する長期借入金については、この科目で表示するということになっているのですが、意外とやっていない決算書もあり、ここで挙げてみました。
役員からの借入金
銀行からの借入金と同じように役員からの借入金もある場合も多いでしょう。
役員からの借入金も銀行からの借入金と別の科目を使っておくのがおすすめです。
具体的には「役員借入金」とか「社長借入金」という科目を使って銀行からの借入金とは別でわかるようにしておきます。
そうすると、役員借入金がいくらあるかは決算書上でもわかります。銀行からお金を借りるときには、「役員借入金」を純資産としてみてくれます。
いっぽうで、「役員借入金」が多すぎると、「貸付金」として社長個人の相続財産にもなりますので、そのチェックもしやすくなります。
経営セーフティ共済
倒産防止共済ともいわれます。
得意先が倒産した場合に、無利息、無担保、無保証人で掛金の10倍のお金を借りることができるというものです。
掛金は年間240万円、累計800万円まで掛けることができ、全額経費扱い。
外に置いてある預金というイメージです。
掛け捨ての保険と違うのは40ヶ月経過後に解約すると、全額戻ってくるという点です。(そのときは全額が雑収入になります。)
毎年の掛金を払うとき、あるいは解約を検討するときに「いままで累計でいくら掛けていたっけ?」とチェックする場面があります。
ただ、保険料で経理していると、累計でいくら掛けているかがわかりません。
そこで、保険料として経理するのではなく、「倒産防止共済掛金」という科目で貸借対照表で資産にしておき、法人税の申告書で経費にするというやり方があります。
そうすると、決算書を見ればこれまでにいくら掛けているかがひと目でわかりますし、累計で800万円の赤字を減らすことができますので、貸借対照表の見た目もよくなります。
実際にお金が戻ってくるので、資産性はあるものですし、会社の株価計算をするときにも見落とすことはありません。
ご興味あれば、税理士に相談してみてもいいかと。
数字を見て語れるように
ひとりでしごとをしていれば、決算書の内容を説明する場面はそれほどないかもしれません。
ただ、銀行には説明する場面があるでしょう。
そういうときに決算書を見れば、その数字をみて今後の計画や方向性を語ることもできます。「今年は〇〇円返済する必要があるので…」というように。
決算書以前の経理の科目もじぶんがわかるような科目をつくっておくことも大事ですが、決算書も同様です。
どの角度からも数字をもとに語れるような工夫をしておきたいものです