相続税の申告をするときに、大きなお金の動きを探ってみると、相続財産のモレを減らせます。
とはいえ、どうしてもわからないこともあります。そのときはどうすればいいのでしょうか。
相続開始の直前に出金があったら?
相続税の申告のしごとをしていると、相続があった日やその前日などに預金から大きなお金が出ていることがあります。
その理由は、いろいろありますが、いちばん多いのは「葬式代としてお金を引き出せなくなると困るから」というもの。
ここで。注意しないといけないのは、相続開始日の預金の残高証明書をもらったときには、この出金は残高に含まれていないということです。
そして、引き出したお金をすべて使ったか、というと、前述したような理由からタンスにしまってあるなど残っていることがほとんどです。あるいは使っていても全額ではありません。
そういう場合、このお金は相続財産に含めないといけません。
ここは税務署もチェックしているところです。
そのお金の行方は?
相続税の申告をするときには、相続開始直前の出金に限らず、過去も含めて大きなお金の動きはしっかりチェックしておきたいところです。
そのお金がどこに動いたのか?
生活費として使ったのか?あるいは別の財産に姿を変えたのか?
親族の誰かの口座にお金が入金されていれば、それが贈与なのか?お金を貸したのか?返したのか?名義預金かを確認する必要があります。
最近は相続財産を探す難易度はあがっています。ネットバンクもあれば、ネット証券もありますし。仮想通貨なども。
そうすることで、相続財産のもれを減らすことはできるでしょう。
どうしてもわからないときは?
大きな出金があっても、親族の口座に入金されたわけでもなく、財産になるものを買った形跡もない、というようにどうしてもわからないこともあります。
そういうはっきりしないお金まで、相続財産に含める必要はありません。
調べるだけ調べてわからないのであれば、それは仕方のないことです。
それが相続財産として存在するものであれば、税務署が税務調査の中で証明していくことになります。
証明されれば、追加の税金+ペナルティを払うことになりますが、本人ではないですし、探せる範囲にも限界がありますし、仕方のないことです。
とはいえ、税務署も「きっと財産だろう」というような予測では課税はできないことになっています。
それはそれとして、相続があったときのお金の行方について、わかるところについては、説明できるようにしておきましょう。