会社なら経営セーフティ共済(倒産防止共済)を利用するという場面もあるでしょう。新型コロナウィルスのような、いざというときに、お金を引き出せる選択肢があると手が打ちやすいです。
この倒産防止共済、掛金が全額経費になり年払いもできます。40ヶ月経過後に解約すると、100%お金が戻ってくるという特徴があります。
節税とお金のバランス
税金を減らしたいというのは、誰もが考えるところでしょう。
わたしもできれば、税金は少ないほうがいいと思っているひとりです。
ただ、税金を減らしたいという感情だけで、経費を使いすぎると、税金は減るかもしれませんが、お金が減っているということがほとんどです。
たとえば、利益が100で、経費を100使えば、税金はゼロですが、手元のお金もほとんどないはずです。
会社は赤字でも法人住民税として7万円の税金を払います。
そのいっぽうで、利益が100で税金が30なら、70は手元のお金として残るわけです。
これなら税金を払っていたほうがよかったわけです。
ということで、税金を払わないとお金は貯まらないという結論が出ています。
だからこそ、しごとを続けるのにグッとこらえて税金を払っています。必要なことだからです。
そうは言っても、払う税金を30でなく、20にしたい、15にしたいという気持ちはあります。
そこでやっているのが、飲み食いにお金を使っての節税ではなく、将来につながる節税。
以前、記事にした小規模企業共済やiDeCo。ひとり社長にもフリーランスにもおすすめです。
これ以外に倒産防止共済(経営セーフティ共済)というのもあります。小規模企業共済と同じ中小機構が取り扱っています。
倒産防止共済(経営セーフティ共済)にもお金は必要
倒産防止共済(経営セーフティ共済)の本来の用途は、得意先が倒産したときに、掛け金総額の10倍まで無利息、無担保、無保証人でお金を貸してくれるというものです。
そして、この掛金月額は5,000円〜20万円まで選ぶことができ、年払いもできます。
さらに、この掛金が全額経費扱いになり、40ヶ月経過後に解約したときには、100%お金が戻ってくるのです。掛け捨て保険とは違い、外部に預金しているようなイメージです。
これ以外に解約返戻金の範囲内でお金を借りることもできます。(期限一括返済)
将来につながるという意味合いはあります。
とはいえ、倒産防止共済(経営セーフティ共済)を掛けるにもお金は必要です。
節税をするにしても、お金とのバランスを見て、余裕資金の範囲でやるべきでしょう。
(利用するなら申告をするときに明細書の添付が必要です。)
経理は「保険料」として経費にするのではなく、「倒産防止共済掛金」などで資産計上して、法人税の申告書で経費扱いにするのもおすすめで、株価評価などのミスをなくすためにも、わたしはそうしています。このあたりはややこしいので、税理士に確認するといいでしょう。
出口を想定しておく
倒産防止共済(経営セーフティ共済)は40ヶ月経過後に解約すると、100%帰ってくるというのは、前述したとおりです。
注意したいのは、このとき全額が雑収入になるという点。
払うときは毎年の経費、でも解約すると全額が解約時の収入扱い。部分解約はできず最大で800万円が雑収入になるわけです。
解約して、税金を払うというと、税金をはらうことを将来に延ばしただけの話。でも、そうならないケースもありえます。
そのときに過去の赤字があれば相殺できますが、そうでなければ、解約をいつするかとうのは考えておきたいものです。
過去の赤字と相殺するとか、不動産保有会社で大規模修繕があるという場面があれば、解約を検討するのもありでしょう。
ただ、退職するときに退職金を払うお金にするというのであれば、役員退職金という経費と相殺はできるかもしれませんが、それはかなり先の話になる可能性もあります。
となると、あわてて一気に掛金を増やさなくてもいいのかもしれません。掛金の枠は800万円と決まっていますのので、税金を払いつつ少しずつ掛けていくというのも1つです。
新型コロナウィルスのようなピンチがあれば、そこで解約することもできますから、選択肢は広がります。
ただ、手元のお金を減らしすぎても、しごとができなくなり、やはりお金とのバランスをとることも必要です。
そこは、じぶんの数字を見ながら、判断できるよう経理や数字のスキルを磨いていきましょう。