一般に「贈与税の時効は6年」といわれますが、ここで扱うのは税務署が更正・決定できる期間のことです。既に納めるべき税金の徴収権の時効とは別の制度です。
贈与がいつ成立したかによって起算の前提も変わるため、単に送金から6年待てばよいという話ではありません。
贈与税の税務調査
意外と知られていませんが、贈与税にも確定申告があります。
申告が必要な贈与を受けた場合、通常は翌年2月1日から3月15日までに申告・納付します。期限が休日等なら翌開庁日になるため、該当年の期限を確認します。
暦年課税では、非課税財産などを除き、1年間にもらった財産の合計が110万円を超える場合は、原則として贈与税の申告が必要です。相続時精算課税では、2024年以後の贈与に年110万円の基礎控除ができ、その範囲内なら原則として贈与税の申告は不要です。ただし、初めて選ぶ年は選択届出書などが必要で、2,500万円の特別控除を使うには期限内申告が必要です。2023年以前の贈与には、この年110万円の基礎控除はありません。
贈与税も税務調査の対象です。国税庁の2024事務年度の公表では、贈与税の実地調査は2,778件でした。
相続税の申告を確認する際に過去の贈与が問題になることもありますが、調査が少ないから申告しなくてよいということにはなりません。
それ以外だと、不動産の登記が動いたとき、経営する会社の株式の所有者に移動があったときに手紙が届くことはあります。
更正・決定の期間は原則6年、不正の場合は7年
贈与税は、原則として法定申告期限から6年を経過する日までが、更正・決定できる期間です。偽りその他不正の行為によって税を免れた場合などは7年となります。単に「意図的」というだけで一律に7年と判断するものではありません。
法定期限の翌日からの期間を考えるときも、毎年3月16日からと固定せず、休日繰越を含め、その年の期限を確認します。
贈与の成立と時期から確認するケース
期間を数える前に、そもそも贈与が成立していたか、いつ成立したかを確認しなければならないことがあります。
登記までの贈与の実態が争われた例
不動産の名義変更をきっかけに、贈与の有無や時期を確認されることがあります。登記の日付だけでなく、契約や財産の管理実態も重要です。
不動産の登記など、契約書以外の資料とも照合して確認しましょう。
1997年1月29日の裁決には、1985年に贈与の公正証書を作成し、1993年に登記した事例があります。
この事例では、公正証書に沿う実態がなく、登記までは贈与者の支配下にあったなどの事情から、贈与の成立時期を1993年の登記時と判断しました。「税を回避しようとしたから無期限に課税できる」という判断ではなく、贈与の成立時期が争点です。すべての不動産贈与が登記時に成立するという意味でもありません。
孫の口座にお金をこっそり入れていた
おじいちゃんが孫名義の口座をつくって、そこにお金を入れていたという場合、贈与にはなっていない可能性があります。
おじいちゃんと孫の間でそもそも贈与が成立しているか。
贈与は「あげる」「もらう」という合意が必要です。ただし、未成年者について親権者等が適法に代理して受ける場合もあり、孫本人が知らないという一点だけでは決められません。資金の出所や管理・利用、合意の実態を確認します。
贈与が成立せず、お金がおじいちゃんの財産のままであれば、贈与税の期間が過ぎたかどうかではなく、亡くなったときの相続財産に含まれるかを確認します。
贈与の合意を記録する契約書は大切ですが、契約書があるだけで必ず贈与と認められるわけではありません。実際の引渡しや管理の状況も一致させておきましょう。
贈与をするなら贈与契約書をつくる その前に確認しておきたい5つのポイント | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog

