相続財産の中には、お金にかえにくい財産もあります。
相続対策をするときにもめない、払えるかの検討をするにあたっては、財産の構成も考えておきたいところです。
相続対策で大事なこと
相続対策とはよく言われますが、次の3つがあります。
- もめない
- 相続税を払えるか?
- 相続税を下げる
相続対策というと、相続税をなるべく減らしたいと思うわけですが、節税を真っ先に考えると、もめることにもつながりますし、結果として期限まで分割協議が決まらずに未分割のまま申告をせざるを得ないなんてこともありえます。
結果的にいったん多くの税金を払うことになります。
相続税を下げるどころか、特例を使えずに税金は増え、お金がさらに必要になります。
そういう意味で、相続税を下げるのはあとで、それよりももめないこと、相続税を払うためのお金を確保できているかどうかが大事です。
お金になりにくい財産もある
払えるかどうかの対策もしておきたいものです。
まずは、財産の内訳を確認してみましょう。
お金や上場株式が多い、生命保険があるというのであれば、分割も相続税を払うのもまとまりやすいかと。
いっぽうで、不動産などが大きな割合を占めているということであれば、お金に変えやすい財産が足りるかどうか、支払う対策ができているかどうかをチェックしておきたいものです。
財産を整理し、その上で、売ってお金にしてもいい財産、持ち続けたい財産といった色分けもしておくというのも手です。
払えるかの対策として、方向性を知るために相続税を概算で計算してみるのが欠かせません。
国税庁HPにあるこちらを使ってみてもいいでしょうね。
相続税の前払いなのか、持ち出しなのか
お金に変えられない財産も相続財産になりえます。
たとえば、中小企業の株式や貸付金などはお金に変えられない財産。(実質的に)
- 株式は相続時の時価で評価して、税金がかかる
- 貸付金は額面に相続税がかかる
わけですが、相続してお金が入ってくるわけでもありません。
中小企業の株式は誰も買ってくれませんし、貸付金については、すぐに回収できなくても貸付金の額面に税金がかかるので、金額が大きければいってみれば、それだけ相続税の前払いをするような話です。
貸付金を相続したところでほんとうにお金で回収できるかどうかはなんともいえませんし。
もめない、払えるかの対策として、相続よりも前にどうするかを考えたいところです。
分割や相続税のシミュレーションをして、分割のことを考えておき、払えるかを考えておくことは必要でしょう。
遺言を書いておくのがおすすめです。
相続税を下げたいというのは、もめない、払えるかのあとの話です。