相続財産を隠すと大抵は税務署にバレますし、あとあとやっかいなことになります。
親族関係をよくしておきたいなら、やめておくべきです。
財産もれと財産隠し
財産もれと財産隠しは異なるものです。
違いはそこに意図があるかどうか?
単なるもれは、じぶんの意思がないもの。
預金を調査したけど単身赴任のときにつくった口座がもれてしまった、じぶんでは調査したつもりだけど、税務署が見つけてきた。
といったことも現実にはあります。
相続税の申告をする場合、財産調査というのをしますが、見つけきれないものもときにはあるのです。
財産もれしていたからといって、マルサが突然やってくるわけではないですし、別に悪いことをしたわけではありません。テストでいうとケアレスミスのようなもの。
追加の税金と遅延のペナルティは払えばいい話です。
そのいっぽうで、財産を隠すというケースもあるのです。
わかってて、あえてですから、そこには意思が入っているということになります。
「知らないで隠す」、あるいは「わかっててもれる」ということはありません。
「知ってて隠す」、「知らないでもれる」でしょう。
「これならバレないだろう」と意思があるものが財産隠しということになります。こっちはテストでいうとカンニング。
これは相続税の場合には、ぜったいにやめたほうがいいです。
税務調査がくればすぐにわかる話
税務署の調査力をあなどってはいけません。
財産を隠したところで、銀行に照会かけたり、海外送金、海外財産を把握する。
過去の申告内容を洗って、つじつまのあわないところをみつけてきます。
法人税や所得税の税務調査に比べたら、件数は少ないですが、それでも調査にくる割合は、相続税が圧倒的に高いのです。
税務調査がきて、何かが見つかる可能性は85.7%(平成30事務年度における相続税の調査事績より)。
この数字をそのまま飲み込まないとしても高いことは事実です。
特に多いのは、お金関係の隠しです。
- 親族名義の口座をつくってお金を入れていた
- 自宅の金庫に現金で隠し持っていた
こういうのは、結局バレますし、相続税は法人税や所得税に比べたら税額が高いので、追加で払う差額の相続税、さらにペナルティも高いのです。
他の相続人にもとばっちりが行く
更にいうと、相続税が法人税や所得税のような税金と大きく違うのは、相続人全員で申告しているという点。
1人だけが財産を隠していても、それが見つかることで他の相続人も追加の税金を払わないといけなくなります。
どういうことなのか?
相続税は、亡くなった人のもっていた財産や債務をまとめて、全体で相続税を計算し、それを財産をもらった割合で各相続人に税負担をさせるしくみです。
だから、もし財産を隠していて、それがバレたときには、他の相続人の税金も増える可能性があるということになります。
財産が多いほど、税率が上がるというしくみもあります。
他の相続人からしたら、「なんで?自分の分はちゃんと申告していたのに。」となるわけです。
この隠していたことのペナルティ(重加算税)は、もともとの相続税の最大40%。
もっとも、隠していたことの重すぎるペナルティは、隠していた本人にかかることになりますが。
残念ながら相続人には隠していたことがバレます。このことで親族との関係までわるくなったら、まさに「つうこんのいちげき」です。
だから、相続税の申告をするなら、隠すことなくきちんとありのままを申告するべきです。
確かに相続税はイタいかもしれませんが、あとあとを考えると痛みは減らせますし、相続税にくわしい税理士に相談するのも手です。
参考までに、わたしは「脱税したい」という方の相続税申告はしないと決めています。