相続財産になるものの中には、お金に変えることがむずかしい財産もあります。
相続財産の評価
相続があったときに、相続財産の評価をすることになります。
申告する必要がある場合でも、申告の必要がない場合でも、評価をしないと相続人同士での話し合いもまとまりません。
誤解をおそれずにいうと、相続時点で相続財産をお金に変えるとしたらいくらになるか?のイメージです。
預金や株価は解約したときの時価。相続後に振り込まれた給料、準確定申告の還付金などもお金に変わるもので相続財産になります。
基本的には、相続財産はお金に変えられるものになるわけですが、そうでないものもあります。
つまり、お金に変えられない。けど、相続財産になる、相続税がかかるというものです。
お金に変えることがむずかしい2つの財産
会社の株
会社の株といっても、上場企業の株ではありません。
中小企業の株です。
中小企業の株は、市場がありませんし、個人間で売り買いをしようにも買ってくれる人はほぼいないでしょう。
「うちの会社の株買ってくれない?」とお願いしたところで、今は配当もない会社がほとんどですし、買っただけのメリットがあるかどうか。
そもそも、中小企業の株は後継者に集中させるべきものではありますが。
売れないけど、相続財産になりますし、会社の株の評価が高くて、それだけで相続税がかかるほど、ということもあります。
貸付金
貸付金は、被相続人が誰かに貸しているお金。
じぶんの会社にお金を貸していることもあれば、家族にお金を貸していることもあります。
これも財産といいつつ、お金に変えにくい財産といえます。
というと、貸付金だからお金を返してもらえるのでは?とおもうかもしれません。
ただ、会社にお金を貸しているという場合、多くの場合で会社の資金繰りの問題からお金を貸していることがほとんど。
「相続税を払いたいから、すぐに全額返してほしい」といったところで、金額が大きければすぐに全額を返してもらえるというのはむずかしいでしょう。
ということで、貸付金もお金に変えられない財産という位置づけです。
財産の割合はチェックする
相続対策の「もめない」「払えるか?」
- もめないために財産の構成を見て、将来分割しやすくしておく
- 会社の株式のように分けることがむずかしい財産は、生命保険などでその手当をしておく
といったことが欠かせません。
売れる財産であれば、最終的にはお金に変えることもできるわけですが、前述したような財産についてはそうもいかないでしょう。
相続税はかかりますし。
なので、生前から財産のバランスを見ておくというのが大事です。
たとえば、相続財産のうち不動産や会社の株式、貸付金が多くでお金はちょっとしかないというのでは、財産を分けるにも、税金を払うにしても困るわけです。
それよりは、お金の割合が多いほうが「もめない」「払えるか」の対策がしやすくなるわけですから。生前からの対策が欠かせません。
財産の割合をチェックしてみて、ときには財産の組替えを検討するというのも1つです。